SVGのメタデータ確認
匿名性の判断で見落としやすい手がかりを、実践前後の確認に使える形で整理します。
SVGは画像ファイルですが、中身はテキストです。
PNGやJPEGのように見える画像とは違い、SVGファイルにはXMLとして、図形、文字、コメント、レイヤー名、ツール情報、ID、説明文などがそのまま残ることがあります。
見た目では何も問題がなくても、ファイルをテキストとして開くと、作成者名、会社名、プロジェクト名、元のテキスト、編集ツールの情報が残っている場合があります。
匿名で画像や図を公開するなら、SVGは「画像」ではなく「公開されるテキストファイル」として確認する必要があります。
この記事では、SVGにどのような情報が残るのか、公開前に何を確認すべきかを整理します。
SVGは中身を読める画像
SVGは、Scalable Vector Graphicsの略で、ベクター画像をXMLで表す形式です。
円、線、文字、パス、色、位置などが、タグや属性として書かれます。そのため、ブラウザで画像として表示できる一方で、テキストエディタで中身を読むこともできます。
| SVG内の要素 | 残る可能性がある情報 | 匿名性での注意点 |
|---|---|---|
| text要素 | 画像内の文字 | 非表示の文字も残る場合がある |
| metadata要素 | 作成者、ツール、説明 | 制作環境が見える |
| コメント | 作業メモ、名前 | 見た目に出ないため見落とす |
| id・class | レイヤー名、部品名 | プロジェクト名や内部語が残る |
| ファイル名 | 名前、案件名、日付 | 共有時にそのまま見える |
SVGの危険は、見た目と中身が一致しないことです。
画面上では消したつもりの文字が、XMLの中に残ることがあります。
デザインツールの情報が残る
SVGは、デザインツールや図作成ツールから書き出されることがよくあります。
そのとき、作成ツール名、書き出し設定、レイヤー名、オブジェクト名、テンプレート名が残ることがあります。
| 残る情報 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 作成ツール | Illustrator、Figma、Inkscapeなど | 制作環境が推測される |
| レイヤー名 | client-logo、school-map | 案件名や組織名が出る |
| オブジェクトID | user-name、draft-title | 元の用途が見える |
| コメント | TODO、作業メモ | 内部情報が残る |
| テンプレート名 | 会社名入りテンプレート | 所属につながる |
ツール名だけなら大きな問題にならないこともあります。
しかし、会社名、学校名、案件名、内部プロジェクト名、利用者名が残ると匿名性に直結します。
非表示の文字に注意する
SVGでは、見えない文字や小さすぎる文字が残ることがあります。
たとえば、元の図にあった名前を画面外へ移動しただけ、透明にしただけ、レイヤーを非表示にしただけでは、XML内に文字が残る場合があります。
| 状態 | 見た目 | 中身 |
|---|---|---|
| 透明な文字 | 見えない | text要素として残る |
| 画面外の文字 | 表示されない | 座標付きで残る |
| 非表示レイヤー | 見えない | レイヤー情報が残る場合がある |
| 小さい文字 | 気づきにくい | 拡大やXML確認で読める |
画像として見て問題がなくても、テキストとして中身を確認します。
匿名性が必要なSVGでは、見た目の確認だけで公開しないことが重要です。
何を確認するか
SVG公開前には、次の情報を確認します。
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| 作成者名 | 個人名やアカウント名が残ることがある |
| 会社名・学校名 | 所属や案件が見える |
| レイヤー名・ID | 内部プロジェクト名が残ることがある |
| コメント | 作業メモや削除前情報が残る |
| 非表示テキスト | 見た目に出ない文字が残る |
| ファイル名 | 共有時にそのまま見える |
確認方法は単純です。
SVGファイルをテキストエディタで開き、名前、メール、会社名、学校名、案件名、地名、コメント、不要な文字列がないか検索します。
SVG最適化ツールの扱い
SVGには、不要なや属性を削るための最適化ツールがあります。
SVGOは、SVGファイルを最適化するための代表的なツールです。公式リポジトリでは、何を削るか、どのようなプラグインがあるかを確認できます。
URL : https://github.com/svg/svgo
ただし、ツールを通せば必ず安全になるわけではありません。
設定によって残る情報は変わります。ツールが削るのは主に不要な属性やメタデータであり、画像内に本来描かれている文字や背景、意味までは判断しません。
SVGOを使う場合でも、最終的には人間が中身を確認します。
PNGに変換すれば安全か
SVGをPNGなどのラスター画像に変換すると、XMLとしてのテキスト情報は基本的に出なくなります。
ただし、それで完全に安全になるわけではありません。
画像として表示される文字、背景、ロゴ、地図、画面情報は残ります。また、変換後の画像ファイルにも別のメタデータが付く場合があります。
| 変換で減るもの | 残るもの | 注意点 |
|---|---|---|
| XMLコメント | 画像に写る文字 | 見た目の確認が必要 |
| レイヤー名 | ロゴや背景 | 所属や場所が見える |
| オブジェクトID | 変換後画像のメタデータ | 出力ファイルも確認する |
変換は有効な手段の一つです。
しかし、変換後も見た目とファイル情報を確認します。
共有前の実践手順
SVGを公開する前には、手順を固定して確認します。
最初に元ファイルをコピーし、公開用の別ファイルを作ります。次に、テキストエディタで中身を開き、名前や組織名を検索します。その後、ブラウザで表示し、見た目に残る文字やロゴを確認します。最後に、公開用ファイル名に個人情報がないか見ます。
| 順番 | 作業 | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 元ファイルをコピーする | 編集前の資料と公開用を分ける |
| 2 | テキストとして開く | XML内の情報を確認する |
| 3 | 名前や組織名を検索する | 直接的な手がかりを探す |
| 4 | ブラウザで表示する | 見た目の漏れを確認する |
| 5 | ファイル名を変える | 外側の情報を消す |
この手順を毎回同じにすると、確認漏れが減ります。
急いでいるときほど、見た目だけで判断しないことが重要です。
高リスクなSVGは公開形式を見直す
内部告発、取材資料、職場や学校に関係する図、関係者を守る必要がある図では、SVGのまま公開する必要があるかを考えます。
SVGは便利ですが、編集可能な構造を含むため、情報が残りやすい形式です。読者が拡大・編集する必要がないなら、PNG化したうえで画像として確認する方法もあります。
ただし、PNG化しても背景や表示文字は残ります。
形式を変えることは、確認を減らすためではありません。確認する情報の種類を変えるための選択です。
まとめ
SVGは画像として表示されますが、中身はテキストです。
作成者名、会社名、学校名、レイヤー名、ID、コメント、非表示テキスト、作業メモが残ることがあります。
匿名でSVGを公開する場合は、画像として見るだけでなく、テキストエディタで中身を確認します。
SVGOのような最適化ツールは役に立ちますが、ツール任せにしないでください。
最終的には、本文、画像の見た目、XMLの中身、ファイル名を合わせて確認することが重要です。
関連ツール
ExifTool
ExifToolは、画像、動画、PDF、Office文書など幅広い形式のメタデータを確認・編集できる代表的なローカルツールです。
紹介する理由: 匿名性が必要なファイルをオンライン変換サイトへアップロードせず、手元の環境でメタデータを確認しやすいため紹介します。
URL : https://exiftool.org/
MAT2
MAT2は、画像、PDF、Office文書など複数形式のメタデータ削除を目的としたローカルツールです。
紹介する理由: ファイル公開前に、ブラウザ上の簡易チェックだけでは見えにくいメタデータをローカル環境で減らす候補になるため紹介します。